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2003.11.10


第1話 スカウト(14)



 「終わりじゃねぇし!!」
 迎えの車が来たっと思ったら雷鷲だし!!
 「エルをこっちに渡してもらおう。」
 ハイジャック犯ガインがんなことを言っている。
 「しつこいぞ!お前ら!!」
 ルーファ、マルコス、セラはすでに武器を構えて戦闘態勢だ。
 「おとなしく我々に協力してくれれば友達の無事を保障してやろう。」
 ガインが相変わらずの自信満々の顔でそんなことをいう。
 「貴様らのせいで半日の旅が2日もかかってんだよ!早く新居に入ってセラと一発やりてぇんだよ!失せろ!」
 さすがに俺も戦闘態勢になる。
 「え、えっと、私、向こうに着いたらしばらく色々と手続きをしなくちゃならないから、あ、あのね・・。」
 なんかセラがおどおどしている。
 「仕方がない。力ずくで行くしかないか。」
 すでに力ずくの手段に出ているだろうが!!数十人の雷鷲戦闘員が俺たちに銃口を向けている。
 「さっきとりすぎたカロリーの消費にはちょうど良いぞ。」
 ルーファが槍を構えて何か言っている。
 「セラはエルの守備、マルコスは右、私は左!行くよ!」
 ルーファとマルコスが走り出した瞬間、雷鷲戦闘員の銃口が火を噴く。

 「ルーファちゃん我流槍術奥義!光雨(こうう)!!」
 ルーファがなんか光の槍を上方に投げている。
 「喰らえ!!」
 雷鷲戦闘員の頭上に光の槍が無数に降り注ぐ!
 「どういう仕組みなんだ?」
 この攻撃で雷鷲戦闘員の半数が吹き飛ぶ。
 「おらあああ!!」
 マルコスの一撃が一度に3人ぶっ飛ばす。54歳の定年間近なのに強いなぁ。
 って、言うか、さっきの銃撃はどうなったのよ。俺とセラは俺の展開した防御シールド(障壁方陣)で弾き返したが、 やつらはどうやって防いだ?
 よく見ると、避けてるし!
 「私らに勝ちたかったらシャイリースでも連れてきな!」
 ルーファの槍がガインを襲う。しかし、ガインはそれを剣で受け止める。
 「ご希望通り、彼はこっちに向かっている。後、3分も足止めすればいいのさ!」
 ガインがくっと剣をそらして槍の先をずらすと同時に前に出て間合いを詰める。
 「そりゃ、ありがとね!」
 ガインの斬撃をルーファが槍を横にして受け止める。ガインはすぐに剣を引いて連続攻撃に移る。 ルーファは押される一方になってしまう。
 「うわ!マルコス!助けろ!」
 と、呼ぶマルコスは大量の雷鷲戦闘員に囲まれていて助けに行くことはできない。ちなみにこっちも同様。
 「落ちろ!ライトニングイーグル!!」
 「きゃああ!!」
 ガインの剣が雷鳴の様な光を放ってルーファが吹き飛ばされる。あっと思った時にガインは切り込んだ場所から30m程離れた所にいた。
 「あ!ルーファさんがやられましたよ!」
 といいながらセラが向かってきた雷鷲戦闘員を切り捨てる。
 「しょうがねぇな。火炎呪符!!」
 右手に持った魔法カードが巨大な炎を生み出す。それに焼かれた雷鷲戦闘員が下がる。さすがに人を殺すだけ強力ではない。
 「よっしゃ!地震呪符!!」
 周りが空いた所で、地面に左手に持った魔法カードを叩きつける。それと同時にカードが燃え尽き、大地を揺るがす。
 「とどめ!風塵呪符!」
 突然の地震によろめいた所へ強烈な突風のアッパーパンチ。大量にいた雷鷲戦闘員がガインも含めて上空に吹き飛ばされる。 高い所から叩きつけられた雷鷲戦闘員がそのダメージに動けなくなる。
 「これが魔法の力か。」
 ガインは冷静に着地して無傷だし!
 「しつこいなぁ、お前は。」
 と言いつつもガインにやられたルーファの所へやってきた。
 「お、生きてるな。」
 「いたぁ〜い!油断しちゃったよぉ〜!」
 と言っているルーファの声に余裕があるし。
 「この綺麗な肌に傷がって、すでに痕がいっぱいついているな。とりあえず、治療な。治療護符!」
 ぺたっとルーファに魔法カードを貼り付けて念を送る。するとルーファの傷口が光だし、あっという間にふさがってしまう。
 「ほぉ!傷がふさがっちゃった!」
 ルーファがぺたぺたと傷のあった場所を触って具合を確かめている。
 「回復の力か。やはりお前の力は黒馬なんて悪のために使うより、我々と共に正義のために使うべきだ!」
 向こうでガインが力説している。マルコスは戦闘中だったが、最後の1人を殴り倒して、こっちに走ってくる。
 「よぉ〜し!ザコは片付いたよ!残るはお前だけね!」
 セラの方は、大丈夫だな。周りにいた戦闘員は片付けられてガインに剣を向けている。
 「お前の力は世界平和のために必要だ!!」
 ガインがなんが力説している。そこへなんか通信機に連絡でも入ったのか、腰からトランシーバーみたいなのを取り出してきて耳にあてている。
 「何!シャイリースはこない!?」
 なんかガインが驚いた声を上げている。
 「くそ!ここは引いてやる!いつかお前が正義に目覚めてくれることを期待するぞ!!」
 と言う捨て台詞を残してガインが去っていく。
 「悪は退けた。正義は必ず勝つのだ。」
 ふっと髪を掻き揚げて武器(魔法カード)を納める。
 「世間一般にはこっちが悪で、向こうは正義なんだけど。」
 ルーファが何か言っている。


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