BACK / TOP / あとがき

2003.12.8


第3話 魔法文明(9)



 「あれで終わりか?」
 なんかセラが帰り支度している。
 「はい。今回は遺跡見学だけなので。今日1日で一通り見終わりましたから終わりですね。」
 ぬう?
 「待て。たった半日の見学かよ!俺にも発掘させろって!」
 セラは俺の意見を聞き入れず、テキパキと俺の分も支度をしている。
 「ダメです。今度の見学の時のために装備を強化しなければダメです!」
 さよか。
 「しょうがねぇなぁ。当面の魔法研究は俺の魔法の威力強化と行こうか。」
 モンスター相手に歯が立たないんじゃ遺跡の発掘なんてできないか。
 「はい。あ、エル様。今度、ゴズキ様に鞭の扱い方を習いに行きましょうね。 せっかく凄い武器を手に入れたんですからちゃんと使わないともったいないですよ。」
 そうそう、あのブレイズウェポンな。新型のブレイズウェポンだったので俺様の名前から「エルウェポン」にしたかったのに(そのまんまだが)、シンプルに「ブレイズウィップ」になってしまった。まぁ、鞭だしな。
 ちなみに、研究用に取り上げられそうになったが、俺以外のやつは触れることができないので俺の物になったのだ。
 「いずれ俺がナイトでお前が姫と言う本来あるべき姿になるかも知れんな。楽しみにしておけ。」
 今は剣の扱いを得意とするセラが前衛で、魔法を使う俺が後方支援って陣形になっているからな。 ほとんど立場が逆だ。
 「楽しみにしてます♪」
 お、なんか嬉しそうだな。

 日が沈む前に出発した。ああ、もう1泊しないのか。
 ライナが後で写真を送ってくれるそうだ。ライナとのツーショットはいい思い出になるだろう。
 こっそりに持ってきたのだが、あの襲ってきたモンスターの頭も回収してきた。 俺様を襲った愚か者として剥製にして飾っておいてやるぜ。
 つーことで、今回の収穫はブレイズウィップ、モンスターの頭、ライナが撮った写真の3つだ。
 「おい。なんかお土産、買っていかないか?」
 なんかしょぼすぎるのでまんじゅうとか欲しいな。
 「ヤスニソス名産の漬物でも買って帰ります?」
 漬物か。
 「ルーファ辺りは食べ物なら何でも良さそうだな。それにしよう。」
 帰りにお土産物屋に寄ろう。


 日付の変わって夜中に家に到着する。普段は軽く起きている時間だが、なんか眠い。今日はサボるか。
 あれから下山してふもとに着いた頃に日が暮れた。
 そこから車に乗ってお土産物屋に寄って漬物を買う。 研究室のメンバーがシャロン含めて5人と、ルーファとマルコスのおっさんにも持って行ってやるとして7つだな。 俺のはまぁいいや。ろくなものがないし。セラはなんかキーフォルダーなんて買っていたな。
 お土産物屋を出て空港に行く前に夕食。送ってくれたのがおっさんだからあれだな。割勘だったし。
 夕食後、空港に行って飛行機に乗り4時間。ウィングス空港に到着する。 平和な空の旅でよかった、と言いたい所だが、まもなく日付が変わる。しかも俺らの飛行機で最後だし。
 飛行機から降りたらセラの車で家に向う。普段から狭い道を法定速度50キロオーバーで走っている所を夜中なので空いているのをいいことに100キロオーバーとかしてたし。スピードメーターが普通の道路で振り切れるのを始めてみた。
 「着きました。お風呂、沸かしますね。」
 セラがアイパス(網膜パターン読取装置)でカギを開けてパタパタと走っていく。玄関に俺のスリッパも出ている所がいいな。
 「ああ、このまま寝てしまいたい所だが、埃っぽい所を動き回ってべとべとだな。 眠いけど風呂に入って寝よう。と言うか、セラと入りたいな。」
 と、言うことで、玄関から部屋のある左へ行かず、風呂のある右へ行く。
 「エル様。もう少しでできますから少しお待ちください。」
 脱衣所に行くとセラがいた。浴室からは湯船にお湯を溜める水の音がする。
 「せっかくだから一緒に入ろうぜ。その方が色々と節約できてお得だしな。」
 セラの肩をがしっと捕まえてやる。俺の提案にセラが赤面する。
 「だ、ダメです。わ、私、まだやることが!」
 俺の手を振り解こうとした所をがしっと抱きついてやる。
 「ダメです。ダメなんだってばぁ〜。」
 う〜ん、やわらかい肌だな。とか先入観があったのだが、なんかごつごつしているな。
 「なんだ?防弾チョッキでもつけているのか?」
 セラのジャケットを前を開いてやる。
 「ぐお!」
 見てはならない物を見てしまったような。
 ジャケットの下は完全武装であった。
 鉄板の光る防弾チョッキに、拳銃の入ったガンホルダーが左右に2つ。腰の辺りに手榴弾が3つ。なんか2つ開いているが、 これはあのモンスターに襲われた時に使ったものだな。んで、剣があったり、ナイフがあったり、銃の弾丸が装填されたマガジンがあったり、いっぱいに詰まったウェストポーチがあったり。
 「全部で何キロ?」
 俺は絶対にこんな装備したくないな。
 「えっと、40sです。」
 オモ!
 「これを毎日?」
 もっとおしゃれしても良さそうなのにいつも同じ服装なんだよな。
 「あ、はい。敵地に行く時はもっと持ちますけど。」
 オイ。
 「家の中くらい外しているんだろうな?」
 う〜ん?
 「あ、いえ。いつ何が起こるかわかりませんから、大体この装備です。」
 オイ。
 「待て。魔法で家のセキュリティを強化しておくから外せ。」
 これじゃ襲っても脱がすのに一苦労だ。それに手榴弾のピンなんか外れたら危険だ。
 「いえ。もう慣れてますから。」
 慣れるな!
 「外せ!どうしても嫌と言うのなら魔法で拘束して外してやる!」
 懐からしゅばっと魔法カードを取り出す。相手の体の自由を奪う拘束魔法だ。
 「あ、沸いたみたいです。失礼しますね。」
 と言ってセラが浴室へ。服を着たまま。
 「あ!」
 浴室の置くにはベランダに出れるドアがついている。
 「逃げられた。」


BACK / TOP / あとがき