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2004.1.30


第5話 活動(1)



 「きょーはきゅーりょうびー♪ きょーのゆーはん、どうしよっかなぁ〜♪」
 ああ、雷鷲って給料制なのか。うちは給料日なんてないんだよなぁ。1年分をまとめて振込みだからな。
 えっと、現在、リリス・アーツァブスって言うセラと一緒に俺をスカウトしに来た雷鷲のかわいい女の子の行動を魔法でトレースして観察しています。 ここまでクリアに見えると風呂とか覗けるよな。後はタイミングの問題だな。トレースできる時間は今の所、30分少々だからな。
 「あ、ハンバーグとかいいよね。この前、見つけたかわいいお店にまた行きたいなぁ。 またオグちゃん誘ってみよっと♪」
 こいつって思ったことを口でしゃべってくれるからいいなぁ。
 「そう言えばオグちゃんとはエル様をスカウトしに行ったときに仲良くなったんだよね。 エル様どうしているのかしら。あんな悪の軍団の女にそそのかされてかわいそうなことになってないかしら。」
 ある意味かわいそうなことになってんだけど。あの2人って同棲しているのにガード硬すぎ!
 「いつかあたしが救い出してあげるからね〜。」
 こいつでも俺の欲求不満を解消できるよな。胸はセラとフレリアよりでかいし。てか、俺の知っている女の中で一番でかいし。
 「あ。」
 でっかい鼻。
 頭がそら豆みたいな形で、鼻が拳くらいありそうな白衣を着たジジィが歩いている。どっかで見た様な気がするのだが。
 「ああ、モッチョン博士だ!」
 思い出した! 世界的な魔法研究の第一人者だよ! やつがモッチョン博士か。 魔法研究家の第一人者なのに最近になって知ったし。
 俺様みたいに魔法を使えるなんてことはないんだけど、魔法文明時代の技術を復活させたり、 研究して色んな凄いことしたりって偉い人なのな。
 「初めて見た。」
 俺も。
 写真で見たことがあるんだわ。その時も第一印象はでっかい鼻だったな。
 「あ、オグちゃん!」
 あ、オグちゃん! 今日もかわいいなぁ。んで、その隣のキザ野郎はまだ死んでなかったのか。
 「おはよ! オグちゃん、シャイリース様!」
 リリスが嬉しそうに2人に走り寄る。でかい胸が盛大に揺れていそうだったが、この位置からは見えんな。惜しい。
 「あら、おはよう。今日も元気ね。」
 オグちゃんがにこって、かわいいなぁ。
 「おはよう。」
 け! キザ野郎がふんぞり返ってあいさつなんてしてんじゃねぇよ!
 「オグちゃん、オグちゃん! 今日の夕飯、一緒にどう? どうどう?」
 夕飯ってハンバーグか? そう言えば俺の今日の夕飯なんだろう? 腹減ってきたな。
 「ごめんなさい。今日はシャイリースと約束があるの。明日なら空いているのだけれど、明日でいいかしら?」
 あのキザ野郎と約束って何だ! 邪魔してぇ! この2人の仲をぶち壊してぇ!
 「うん! じゃあ、明日ね!」
 これでオグちゃんと別れる。給料を取りに行く方向と逆方向に2人は行くみたいだからな。
 「あ、総帥。」
 なに?! 総帥?!
 雷鷲の総帥ってどんなやつだ? やはり女はべらせてわひゃっひゃってやってんだろうなぁ。
 うちの総帥のクロウって思い切り期待を裏切ってくれやがってゲイじゃねぇのか?
 「あ、モッチョン博士もいる。」
 あ、美人のねぇちゃんはべらせてるじゃん! こっちの総帥は想像通りの変態野郎か?
 「う〜ん、総帥の奥さんって美人だよねぇ〜。息子のガイン様があれだけ大きいんだから相当な年のはずなのに。 後で若さの秘訣とか聞きたいな。」
 なんだ。嫁かよ。ガインって俺が初めて黒馬ビルに向う途中、とことん邪魔し腐ってくれたあの自信過剰野郎だったな。 総帥の息子とか言っていたし。ガインってどう見ても俺と同年代か、ちょっと上だ。それを考えるとあのねぇちゃんって少なくとも40前後だな。
 見えねぇ!
 ありえんくらい若く見えるぞ。
 まぁ、セラより落ち着いた感じが年の貫禄を感じさせる。
 ちなみに身体的特徴を詳しく確認すると腰の辺りまで綺麗なブロンドを伸ばしていて、見た目20代の落ち着いた、というかおっとりした感じの美女だ。
 隣の野郎が総帥か。こっちは年相応の顔をしているな。細かいしわが刻まれていても自信に満ちた威厳のかっこいい初老の紳士だ。 全くおっさんって堕落した印象を与えないその姿が凄いな。あれがカリスマの姿って言うんだろうなぁ。 あの自信過剰野郎のガインが後20年くらい年取って落ち着くとあんな感じになるんだろうなぁ。
 「まぁ、いっか。先にお給料、取りに行かなくっちゃ!」
 ああ、あの3人が何を話しているのか気になるのに。リリスがその場から立ち去ってしまった。 まぁ、あの位置からじゃ何を話しているのか全く聞こえなかったし、いいか。

 「今月のお給料は!」
 給料を配っている列に数分並んでリリスが給料明細の入った封筒を受け取った。こいつの月給っていくらなんだ?
 「14万2千クレス! うわ! ちょっと減ってるぅ! ひぃ〜ん!」
 14万2千C(クレス:お金の単位。1円≒1C)。少ないなぁ。重火器持ってドンパチやることもあるのにこの給料か。儲かってねぇなぁ。 やはり黒馬に来て良かったなぁ。月100万は普通にくれるしな。
 「家賃払って10万7千。オグちゃんに借りたお金を返して8万7千。う〜ん。」
 ご苦労なことだな。
 あ。魔法が切れた。
 今回の収穫はリリスの給料がいくらかって分かったくらいだな。あ、もう1つ。あのキザ野郎がオグちゃんとデートだとぉ? 邪魔してぇ! どうやって邪魔してやろう?  現状じゃ覗きしかできねぇ! 最悪だ。やつがオグちゃんにあんなことやこんなことをするのを見ているしかないのというのか! いやぁあああああああ!!  呪殺方陣がこの位置から使えたら!


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