12月25日、クリスマス。
リリスとフレリアが病室にお見舞いに来た。
「ただいま! 2人とも元気してたって訊きたかったんだけど、大丈夫なの?」
リリスが俺の隣に座る。
「まぁ、エル様の魔法で治療していただきましたから。もう傷跡もないんですよ。」
さっき検査が終わって結果待ちだ。すぐに結果が出ることだろう。
「あ、エル様。昨日、デパートで買った荷物は・・・?」
ああ、あれな。転送方陣で異空間に保存しておいた。
「今、出すよ。」
病室にちょっと広いスペースを確保する。
「出現方陣。」
魔法カードが燃え尽きると同時に荷物が出現する。
「えっと、これがセラからの誕生日プレゼントだな。」
かわいいイラストの紙袋をリリスに手渡してやる。
「え! 誕生日ですか! ありがとう!」
リリスが紙袋を持ったままベッドの上のセラに抱きつく。
「こっちが俺から。」
ちょっと高級感を漂わせる黒い袋を渡す。
「ありがとうございます!」
今度は俺に抱きついてくる。ああ。こいつの胸ってでかいな。
「えっと、これがフレリアにクリスマスプレゼントな。」
今度はシンプルな白地に店のロゴが入った紙袋をフレリアに渡す。
「あ、ありがとうございます。開けてもいいですか?」
さすがに野生児でもクリスマスと言う行事は知っていたか。
「こっちがセラに。」
セラにはちゃんとラッピングしてリボンの着いた箱を渡す。
「ありがとうございます。いつの間に買ったんですか?」
こっそりとな。
「エル様。あたしのクリスマスプレゼントは?」
なんかリリスが言ってる。
「さっきのがクリスマスプレゼントと兼用。セラも同じく。」
リリスの眉間にシワが寄る。
「ぶぅ。皆、いつもそうなんだもん!」
まぁな。
「わぁ、マフラーですね。ありがとうございます。」
フレリアにはマフラーだ。ラクダ色をしたやつ。
「エル様。私も開けていいですか?」
リリスは断りもなく開けてしまっているな。
「さっさと開けろ。」
たいしたものじゃないんだがな。
「わぁ、綺麗・・・。」
ネックレスだ。ちょっと大き目のダイヤモンドをあしらった派手すぎないものだ。
「つけてやるよ。」
セラからネックレスを受け取って背中を向けさせる。
「あ、エル様。あたしにも着けて。」
リリスにプレゼントしたのは黒いベルトに銀の十字架のついたチョーカーだ。
「ちょっと待ってろ。」
そう言えば俺には何もないのか?
セラの長い髪を持ち上げ、首の後ろでつなぐ。
「ありがとうございます。」
う〜ん。いい感じ。さすがは俺のコーディネートだな。続いてリリスにもつけてやる。
「首輪だな。」
首輪だ。
「エル様へのお土産は部屋に置いてきてしまいましたので、帰りましたらお渡しいたしますね。」
フレリアがプレゼントのマフラーをつけて言う。お土産は家か。アマゾンから持ってきたお土産ってなんだろう?
「私からエル様へのプレゼントはその茶色の袋です。」
これか。ちょっと大きめの紙袋だ。
「開けるぞ。」
中を見るとクリーム色のセーターであった。
「どうですか?」
セラが不安そうな顔をしている。
「あったかそうだな。」
趣味は悪くないな。さすがはセラと言ったところか。
「ありがとうございます。」
セラがにこっと笑顔を作る。
「久しぶりの帰郷はどうだった? あのばぁさんは元気にしてたか?」
セラのプレゼントである猫のぬいぐるみを胸に抱いたリリスを無視してフレリアに話を振る。
「相変わらずでした。もう100年くらいは元気ですね。」
100年って。そう言えばこのフレリアってもう100歳近いんだったな。
「そうか。」
こいつの誕生日っていつだろう? セラは8月10日って知っているのだが。
「そう言えばお前の誕生日っていつなんだ?」
訊いてみた。
「3月23日です。」
3月か。
「ちなみに俺の誕生日は7月2日だからな。」
まだまだ先だな。
「そうだったんですか?」
そう言えば、今年の誕生日は何事もなく終わってしまったな。
「来年は楽しみにしているからな。」
なんかどたばたしていて自分でも忘れてたんだわ。
「はい。」
楽しみ楽しみ。
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