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2003.10.26


第1話 スカウト(9)



 「こちらが、バーニングブラッド・エルスペシャルグレートバージョンです。」
 ルーファの前に真っ赤なカクテルが出される。ブレンドは秘密。
 「わぉ!綺麗じゃん!」
 「冷めない内にくいっと。」
 冷めない内に?ルーファがくいっと飲み干す。
 「はああああ!きくぅ!!あっつーい!!」
 ルーファが向こうを向いてじたばたする。
 「効くだろ?全身の血が煮えたぎるみたいだろ?世界でたった一人、俺しか作れないからな。」
 エルスペシャルだからな。
 「美味しかったぁ〜、ふぅぅ〜。」
 ルーファがぶっ倒れてしまう。
 「グレートバージョンは強すぎたか。もう少し刺激を抑えるかな。」
 グレートバージョン試作1号は失敗と。今日、始めて会ったやつを試作カクテルの実験台にするなよと。
 「さて、さっきは邪魔されたがセラとセックスタイムだな。むふふふっふっふっふ。」
 自分で潰したやつをホテルバーに置き去りにするのもなんなので、おぶって部屋まで運んでやる。 野郎ならともかく、一応、女だからな。親切にしておかないと俺のポリシーに反する。

 「セラ!こいつの部屋ってどこ?って、寝てるし!」
 爆睡して起きる気配ねぇし!
 「隣か?」
 移動してみた。鍵がかかっているし、ノックしても返事ねぇし、こいつは鍵持ってねぇし。
 「ここに来る途中、ホテルのカウンターが締まっているのを確認したしな。俺と同じベッドで寝てもらうか♪」
 近くで見るとかなり可愛いし、スタイルも抜群だからな。
 「つーことで、おやすみ〜♪」
 俺のベッドにルーファを転がし、一緒の布団に入る。
 「・・・・・・・・・。」
 酒臭いな。
 「眠れ、ヒポポスペルポプ・・。」
 ヒポポ?
 「グベ!!」
 いきなり脇腹にブローが決まる。
 「いってぇ!内蔵がいかれたかも。」
 ふと、ルーファの方を見るとなんか起き上がってきた。
 「なにぃ〜、まだ息があるのか・・。」
 寝ぼけてる寝ぼけてる!
 「喰らえ!必殺グレートサンダーブラストォー!!」

ぐああああああ!!

 じゃなくてな、ルーファがなんかびしっと右手を頭上に上げてポーズを決めている。 そのままふにゃふにゃっとベッドの上に倒れる。
 なんか良く分からん夢を見とるのな。
 ルーファと寝るのはちと危険だな。セラのベッドに入らせてもらおう。セラは寝相がいいからな。
 そろそろっと足音を立てないようにセラのベッドに潜り込む。おお、いい匂い。 さっきの酒の匂いとは比べ物にならないな。
 なんか異常に疲れた。こそっと襲いたい所だが、睡魔が邪魔する。


 次の日。
 「あれ?エル様。そんな所で寝て、どうしたんですか?」
 あれ?なんかセラの声が結構離れた上から聞こえる。
 「んん?」
 あれ?なんかベッドから落ちてるし。
 「んー?ベッドから落ちたのか。顔、洗ってこよ。」
 ルーファはまだ寝てるし。ってか、上下逆さまになっているし!放っておけ。


 「良し!出発!」
 おお、すがすがしい出発だ。雷鷲の襲撃がない。
 このまま平和に着いてくれることを願う。


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