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2003.11.10


第2話 黒馬(1)



 世界統合推進グループBlack Horse。通称“黒馬”。自称『世界征服をたくらむ悪の組織』である。
 敵対組織には容赦なく、手段を選ばないので悪の組織で通っているのだが、 世間一般的には世界を牛耳る2大組織の1つとして生活のあらゆる分野でお世話になっている大企業だ。
 俺様、エル・ハウンディーアも服とかカップ麺とか色んな所でお世話になっている。
 世界最高の大魔法使いと言う俺様の力を狙って黒馬とその敵対組織Lightning Eagle、通称“雷鷲”に同時にスカウトされた。 黒馬の待遇がよくて、スカウトの女が好みだったので黒馬のスカウトを受けた。
 しかし、雷鷲のやつらは誘いを突っぱねた俺様を武力行使で従えようと襲ってきたのだ! 飛行機に乗ればたった1日でつく旅を途中で乗り込む前に拉致、飛行機に乗ってからハイジャック、電車に乗る前に銃撃、 ついでに降りてからも銃撃と幾度となくセラとの楽しい旅を邪魔しやがって3日もかかってしまった。

 「おお!ここが黒馬秘密のアジトか!」
 ずでーんっと目の前に50階くらいありそうな真っ黒なビルが建っている。
 「いや、別に秘密じゃないんですけど。一応、私たち黒馬の中央本部です。」
 セラが言う。秘密じゃねぇのかよ。全然、悪の秘密結社じゃねぇな。運送会社にホテル業、航空会社とかやっているし。
 「それじゃ、総帥にあいさつに行きましょうか。」
 セラを戦闘にビルの玄関へ向かう。
 その歩いている途中に後ろでなんか角を本当に曲がりきれるのかってくらい長い豪華で真っ黒なリムジンが止まる。 運転手が先に出てきて後部座席のドアを開ける。
 「おい、セラ。どっかのお偉いさん?」
 こんなもんを使うのなんて金のあるやつらばかりだ。
 「えっと、誰でしょう?」
 4人ともリムジンから誰が降りてくるのか注目している。リムジンから降りてきたのは漆黒の長い髪をした野郎だった。
 「そ、総帥!」
 セラたちが急に緊張する。あの髪長野郎がここの総帥か。あれが女をはべらせてわひゃひゃと笑っている気さくな変態総帥か。
 黒髪の総帥の後ろから女がぞろぞろ降りてくるのかと思ったが、 黒いローブに身を包んだいかにも怪しい魔法使い風のおっさんが降りてきただけであった。あれ?
 「お、エル君。ようこそ!」
 はっと気づいた時に目の前に黒髪の総帥が立っていた。ぐっと差し出された手の勢いに負けて握手してしまう。
 「俺がこの黒馬の総帥クロウ・ウィザードだ。決して女をはべらせてわひゃひゃと笑っている変態総帥じゃないからな。」
 変態総帥じゃないの?いや、自称だからな。
 「何?悪の秘密結社なのに美女だらけのハーレムを作ってねぇの?」
 女をはべらせていなければ男を?!まさかホ○??
 「当初は女だらけのハーレムを作ったんだが、色々とあってねぇ。決して○モじゃないからな。」
 黒髪の総帥が遠い目で空を眺めている。作っていないのか。ちょっとがっかりだな。
 「君は不思議に思わないんだね。いつも皆、不思議に思うんだけど。」
 何を?
 「何をじゃなくてさ。」
 今、口に出したっけ?
 「口に出さなくても俺には何を考えているかわかるんだよ。」
 は?
 「なにぃーーーー!!俺の魔法でマインドリーディングはまだ成功してねぇぞ!おぬし、なかなかやるな。」
 はっはっはっは!とか言って黒髪の総帥が笑っている。
 「皆、俺のことは総帥と呼ぶけど、クロウでいいぞ。これで俺へのあいさつも済んだし、 今日はゆっくり休んで明日からがんばってくれや。」
 わっはっは!と笑いながら俺の背中をバンバン叩いて去っていく。去っていくって言うか掻き消えた。 テレポートか!テレポートなんてできるの俺様の転移方陣だけだと思っていたのに。さすが総帥だなぁ。
 「え、えっと、総帥がああ言っていらっしゃるので、エル様のお部屋に案内しますね。」
 セラはまだ緊張が解けないのか、なんかギクシャクしている。
 「私も一緒に行くぜ!たまに遊びに行くからな!」
 ルーファがなんか楽しそうにしている。てか、来るなよ。
 「わしらの任務は終了だな。わしは帰るぞ。」
 マルコスのおっさんは疲れた顔をしている。やはり年並みにあの戦闘は疲れたか、それともルーファのハイテンションに疲れたか。 多分両方だな。
 「んじゃ、マルコス。また明日ね!」
 ぶんぶんっとルーファがマルコスに手を振って見送る。元気だなぁ、ってか子どもっぽいなぁ。
 「えっと、まずはこっちです。」
 セラを先頭にしてその場を離れる。

 「駐車場じゃん。近道?」
 でっかい駐車場だなぁ。何百台止まっている感じ。
 「あの3階です。」
 と言ってセラが駐車場奥にある建物に入る。てか、これって駐車場じゃん。
 「駐車場に泊まれと言うのか?だったら雷鷲に行くぞ。」
 マジで。ウィングス郊外に出れば拾ってくれるでしょう。
 「いえ、私の車がここの3階に置いてあるんです。車で15分くらいの所なんです。」
 まぁ、さすがにあれだけやってスカウトしてきた俺様に駐車場で寝泊りしろと言うのはあれだよな。
 エレベータの乗って3階へ行く。
 「黒。夏は焼けそうだな。」
 黒い小さな車が止めてあった。あの後ろに乗る時は前の座席を倒して乗り込むタイプのやつ。
 「いつも日陰に置いてますから大丈夫ですよ。さ、乗ってください。」
 ルーファが後部座席へ乗って、俺は助手席だ。運転はセラがする。ちなみに俺様は免許持っていないのよ。
 「それじゃ、出発しますね。」
 黒馬ビル横の駐車場を無事、出発する。


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