「到着しました。」
結構でかいマンションだな。その地下駐車場に車を止める。ってその前に。
「お前はスピード狂か!あんな入り組んだ道で何キロ出してんだよ!」
普段はうるさいくらい元気なルーファが移動時間の15分間、黙ったままだった。
「何キロ出てました?悪の組織なんですから、スピード違反くらい許してくださいよ。」
オイ。
「それじゃ、部屋に行きますよ。家具は一通りこちらでご用意させていただきました。
今日から普通に使えますよ。」
マンション地下に駐車場があって、上階にはエレベータで行くらしい。
「エル様のお部屋は8階になります。」
8階か。セラがエレベータの階指定ボタン『8』を押す。
数秒で8階に到着して、エレベータの扉が開く。
「?ドアが2つあるな。」
階段を下りると玄関前らしきフロアに出た。そこに趣の異なる2つのドアがある。
片方のドアは小豆色のちょっと豪華なやつで、横に何か呼び鈴ボタンとインターフォンがついている。
もう片方は普通に水色のペンキで塗られたドアだな。
「そっちのドアは階段です。お部屋は正面のドアになります。」
水色のドアは階段か。ルーファがテクテクと行って確かめてくる。
「エル様。入る前にこちらで網膜照合をします。後でエル様の網膜パターンも登録しに管理人室に行きましょうね。」
セラがインターフォンの小型モニタみたいな所を覗き込んでいる。ちょっとしてピッと言う機械音がなる。鍵が開いた様だ。
「さ、入りましょう。」
セラが小豆色のドアを開ける。
参考・エル宅間取り図(別窓で開きます)
「おお!床がピカピカだ!」
顔が映ってる。
「さっき気になったのだが、この8階って俺らの部屋しか入っていないのか?」
2つあったドアの内、1つは階段だったからな。
「はい。」
セラがにこっと返事をする。ほほう。
「部屋の数は?」
俺の住んでいたアパートは玄関とキッチンが一緒になった所とトイレつきバスとリビング1つだけであったぞ。
合計3部屋か?
「物置、トイレ、脱衣所、お風呂と言ったものを含めますと、・・・・、20ですか。」
おお!なんかやけに広いな。ここに俺とセラの2人で住むのか。
「ご案内いたしますね。」
セラがそくささっと上がってスリッパを2足並べる。俺のとルーファの分だな。
「まずは、入って右側ですね。この玄関の隣がトイレになります。その隣が物置で、突き当りがお風呂、
トイレの向かいが洗面所ですね。」
ひとまずトイレを拝見。
「木目の壁に暖色系の灯りとかわいいインテリアと。」
インテリアはかわいい、女の趣味って感じだな。
「私の趣味なんですけど、いかがでしょう?」
セラが後ろで心配そうにしている。お前の趣味か。なるほど。
「いいんじゃねぇの?なかなかあったかそうで落ち着いたスペースにまとめられていると思うぞ。」
俺にインテリアのアドバイスはできない。
「ありがとうございます。」
セラが笑顔になる。
続いて物置だな。
「こちらの物置には石鹸とか、タオルとか日用雑貨が置いてあります。」
石鹸、洗剤、ハンガー、歯ブラシ、歯磨き粉、ラップ、ビニール袋、荷物縛り用の紐などなど。
「次は風呂か。」
一番後ろにいたルーファが廊下突き当りのドアを開ける。
「脱衣所だね。」
トイレより広い。入って左手に浴室へ出る扉がある。それをルーファが開ける。
「おお!これって足伸ばせるんじゃない?」
ルーファがなんかはしゃいでいる。確かに足の伸ばせるくらいでかいな。まだお湯ははられていない。
ルーファが空の湯船に入って見る。なんか浸かり心地がよさそうだ。
「その奥に見えるのはベランダか?」
浴場からベランダへ出ることができた。
「ベランダです。洗濯物を干したり、日光浴をしたりできます。」
ぐるっと見渡すと物干し竿が置いてあって、んでもって、えっとあれは?
「サンドバックか?おお!鉄アレイに、腹筋の足押さえるやつ?!」
なんかトレーニング器具が置いてあるし。
「研究ばかりで体を動かさないとおなかが出ちゃいますよ。」
と言うセラ。置いてある鉄アレイが1つ5kgだ。重過ぎないか?
「次に行きましょう。浴室の隣は洗面所ですね。」
ベランダからガラス戸を開けて中に入る。入ってすぐ横に洗濯機が置いてある。
それから奥に洗面所がある。
「何か洗い物がありましたら、洗濯機横のこの篭に入れて置いてくださいね。私が洗濯しておきますから。」
ん、了解。
「シャワーがついているな。寝癖直しに便利だ。」
洗面所にシャワーノズルがついていた。お湯も出るようだな。
ベランダから反対側のドアから出るとさっきのトイレの前に出る。
「それでは、向こう側に行きましょう。」
パタパタと玄関の前を通り過ぎて行く。
「玄関の隣、手前左に見えるドアが書斎です。右側のドア2つはリビングです。書斎の隣はキッチンで、
突き当たりのドアは食堂ですね。」
食堂って何だ?飯を食べるためだけの部屋?
「書斎があるのか。」
かちゃっと書斎に入ってみる。おおお、なんかもろに書斎って感じの部屋だな。入って手前に接待セットみたいなテーブルと黒皮のソファがあって、
奥に社長席みたいな机がある。んで、壁際に本棚があったり、謎の置物の置いてある棚があったり。
ルーファが即行で社長席に座る。
「おお!座り心地いいぞ!」
ルーファがなんか嬉しそうにしている。
「おい!俺の書斎なんだからそこは俺の席だろうが!俺が最初に座る権利があると思わないか?」
社長席の机を両手で叩く。なんか上司に抗議する部下の図、みたいな感じになっているな。
「まぁ、落ち着きたまえエル君。君の言い分も分かるが。」
ルーファがなんか言っている。
「し、しかし!」
まんま上司に抗議する部下の図だな。
「えっと、エル様。次に行きましょう。」
セラが後ろでおろおろしている。ちぃ、次に行くか。
セラを先頭に廊下へ出る。そのまま正面のドアへ入る。
「リビングです。」
無駄に広ぉ!ドアが1、2・・・7つもついているし!
「おお!でっかいテレビ!このソファも座り心地いい!わぁ〜、なんか落ち着く。」
ルーファがでかいテレビの前にあるソファに横になってくつろぎ始める。
入ってすぐ右側にそのTVでくつろぎスペースがある。ソファとTVの間にテーブルがあったり、ソファの向こう側にさりげなく観葉植物が飾ってあったり、
TVは横幅1.5mくらいありそうなワイド型だし。これ1台で100万C(クレスcres、1C≒1円)くらいするんじゃねぇか?
右手はTVでくつろぎスペースだが、左斜め前には絨毯がひいてある。それから右斜め奥からさっきのベランダに出られる様だ。
「絨毯を挟んで向こうの壁に見える2つのドアは客間です。それから角のドアも客間です。
それから左の壁の角に見えるドアは食堂に出ます。その隣のドアは寝室に向かう廊下に出ます。」
左回りにそれぞれのドアを確認。1つ目は後ろにある廊下へのドア、左側に行って2つ目のドアも同じ廊下に出るドアだ。
角のドアを開けるとでかいテーブルと椅子の置いてある落ち着いたインテリアの部屋がある。食堂らしい。
その隣のドアを開けるとさっきとは別の廊下があった。この先に寝室があるらしい。んでもって次。ぐるっと回って入ってきたドアから一番離れた角にあるドアを開ける。
ベッドが2つある客が泊まるための部屋らしい。それから入ってきたドアから絨毯を横切った所にあるドアを開けるとベッドの1つある客が泊まるための部屋であった。
その隣も同じ間取りの部屋があった。さらに回るとベランダへ出るガラス戸がある。さらに回るとTVでくつろぎスペースにたどり着く。
「一周するのに時間かかったな。」
ぐるっと見た感じ、このリビングはこのTVでくつろぎスペースでくつろぐか、
絨毯の上でごろごろするかと言う2つの用途があるらしい。
・・・いや、もう1つ。さっきベランダに出るガラス戸からベランダを見た所、なんと浴室が見えたのだ。
セラの入浴中、のぞきができるぞ。
「次に行きましょう。」
と、セラが寝室に向かうドアを開ける。
「えっと、ここを開けて手前左手のドアは食堂です。それから右手のドアは書庫になります。」
何?書庫?かちゃっと開けると暗かった。窓がないらしい。明かりのスイッチを入れると机と本棚が見えた。
本棚にはかなりたくさんの本が納められていた。
「この本棚1つ、全部魔法書の写しじゃん!うっひょー!」
ちょっとわくわく♪
ぐるっと回ってこの部屋には本棚と机と椅子しかなかった。
「次に行きますね。」
書庫から出て右に行く。寝室があるらしいのだが。
「ここの部屋は後でご案内しますね。」
廊下の角、左側のドアを指してセラが笑顔で言う。何か楽しい部屋か?
「こっちの突き当りの部屋はエル様の寝室になります。」
がちゃっとセラがドアを開ける。
「普通にベッド、クローゼット、本棚、机・・・・。うお!これって最新型のパソコンじゃん!気前がいいなぁ。」
今、高スペックで有名のやつだ。欲しかったが金がなくて諦めたやつだな。
「後でゆっくりおくつろぎください。」
とセラが言って次に行く。
「エル様のお部屋の隣は私の部屋ですね。一応、私のプライベートがありますから省略しますね。」
と言って素通りする。こっそり開けようとしたら鍵がかかっていた。
乙女の秘密!後でこっそり侵入するか。セラの寝ている頃に侵入して夜這い、とか言ってな。
「この隣は空き部屋ですね。」
セラの部屋の隣はなんにも入っていなかった。
「廊下の突き当たりはトイレです。」
トイレ2つ目か。1つのフロアにトイレが2つあるのか。なかなか豪華だのう。
「それではさっき飛ばした部屋に行きましょう。」
「お前の部屋?」
飛ばした部屋はセラの部屋だな。
「違います。あの突き当りの部屋です!」
セラが背中を押して無理やり自分の部屋から遠ざける。よほど見られると恥ずかしい物でもあるのか?
「それじゃ、開けてください。」
セラが笑顔で言うので開けてみる。
右手にドア、奥に広いスペース。
「右手のドアは物置ですね。奥に行ってください。」
奥に進むと結構広い部屋に出た。
部屋の真ん中にでかいテーブル。右手奥にパソコンが2台と机。
「エル様の研究室です♪」
セラがなんか嬉しそうに言う。・・・・俺の研究室?
「おお!俺の研究室!?俗に言う趣味専用部屋だな!」
俺様の魔法研究はあくまで趣味であった。
「趣味じゃなくてお仕事部屋だと思うのですが、ここで好きなだけ魔法の研究をしてください。」
うっひょーっと喜びたい所だが。
「なんか、広くて落ち着かないな。物がなくてスッキリしすぎていると言うか。」
この部屋だけで俺の住んでいたアパートの部屋の4倍くらいの広さがあるし。
「すぐに慣れますよ。」
そうか?
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