「ごめんください。」
現在、マンションの30階(最上階)にある管理人室の玄関前にいる。
『なんじゃ?おら!』
インターフォンからおっさんの声がする。
「8階に住んでいるセラ・ベルガナですけど、お話していたエル様が到着いたしましたので、
網膜パターンの登録をお願いします。」
と、セラがインターフォンに話し掛ける。
『ああ、セラちゃんか。今、開けるけ、ちょっと待っとれ。』
なんか急に声が優しくなるし。
しばらくして玄関のドアが開く。中からバーコード頭のおっさんが現れる。
「おう、お前がセラちゃんと同棲するっちゅう、野郎か。さえねぇ、顔してんなぁ。」
大きなお世話だ。
「ほれ、とっとと来い。」
おっさんの後に続いて中に入ると、中は物凄いハイテク機器であふれかえっていた。
「ぐお、凄いな。これ。」
どっち向いても所狭しとコンピュータの箱とそれを繋ぐ太いコードが置いてあるのが見える。
「管理人さん、この辺りで有名なハッカーらしいですよ。」
あのバーコード頭の口の悪いおっさんがハッカーねぇ。
「おら、ここだ。その辺のブツにむやみやたらと触んじゃねぇぞ!」
へいへい。なんか触ったら感電しそうだし。
「ちぃーっと動くな。まばたきもするな。」
現在、網膜パターンの登録中。目に変なカメラが取り付けられている。
「よし、逆だ。」
右目から外して左目に取り付ける。
「よし、動くな。」
ん。
「おっし、終わりだ。野郎の顔なんて見たくもねぇ!さっさと帰りな。セラちゃんはゆっくりしていっていいからね。」
おいおいおい。
2人一緒にお礼を言って管理人室を後にするのであった。
「網膜チェーック!」
玄関横のアイパス(網膜パターン識別装置)を覗き込む。ピッと言う機械音がする。鍵が開いたようだ。
「しっかり登録されているみたいだな。」
がちゃっとドアを開けて中に入る。
「ただいまーって何、喰ってんだよ!お前は!」
リビングに入るとラーメンどんぶりに盛られているアイスクリームを抱えてTVを見ているルーファを発見してしまう。
ピンク色のパジャマがかわいいなぁ、とか思ったのだが、抱えているラーメンどんぶりがなぁ・・・。
「あ、お帰り。いーお風呂だったよ!」
ルーファが嬉しそうに言う。てか、何を食べているのか答えろ。
「エル様もアイスクリーム、食べます?」
あー、ルーファが美味しそうに食べているのを見たら食べたくなったな。
「んじゃ、少しもらおうか。」
さすがにラーメンどんぶりに盛られるのは勘弁だが。
「はい、少しお待ちくださいね。」
と言ってセラがリビングから出て行く。
帰ってきて改めて見るリビングは広いなぁ。何uあるんだ?
しばらくルーファの隣でTV観賞しているとセラがトレイにアイスクリームの盛られた涼しそうなガラス小鉢を載せて帰ってくる。
「お待たせしました。」
セラの持っているトレイからアイスクリームを受け取る。そう言えばアイスクリームなんて食べるのって何年ぶりだろ?
ガラスの容器に盛られた半球形の白いアイスクリームを銀色のスプーンで少し崩し、口に運ぶ。
う〜ん、バニラの濃厚な甘さとアイスクリームの冷たさがなかなか美味だのう。あー、かなり高そうだ。
「う〜ん、冷たくて美味いな。いくらのアイス?」
セラがちょっと考える仕草をして、
「1パック1万Cです。」
「1パックって何人分?」
「これ1杯を1人分にしますと10人分くらいですか。」
て、ことはこれ一杯で1000C?!俺が普段食べているやつの10倍か!味わって食べよう。
ふと、ルーファのどんぶりを見ると軽く10人前くらいは入りそうだよな。・・・こいつ1人で1万Cのアイスクリームを食べているのか?
まぁ、食べている姿がかわいいし、たくさん食べて大きくなれよって、こいつは23歳だよ。もう10時回ったこの時間にこんなアイスクリームを10人前も食べたら太るぞ。
「あー、おいしかった♪もう1杯持ってきてよい?」
かわいいから許可してしまいそうだったが、
「お前、これ以上食べたらマジで太るぞ。昼に食べたカツ丼はあの後の戦闘で消費されたかもしれないが、
もう後は寝るだけだろ?ぷくぷくに太るぞ。」
ルーファがぷくっと頬を膨らませて眉をひそめる。かわいい。23歳に見えないな。
「歯、磨いて寝る!」
ルーファがドンっとテーブルに空になったラーメンどんぶりを置いてリビングから出て行く。
「あ。報告書、書かなくちゃ。お先に失礼しますね。」
と言ってセラもリビングから出て行ってしまう。
「・・・・女っ気がなくなると寂しいな。」
広い分、余計に。
「風呂に入ろう。」
んで、夜這いするために早く寝てしまおう。
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