「くそ!全然聞こえねぇ!」
風呂から上がって現在11時ちょっと過ぎ。普段は日付が変わってから寝るからまだ就寝には早い時間だ。
今、セラの部屋側の壁に耳をつけて聞き耳を立てている。しかし、全く隣の音は聞こえない。
防音設備がしっかりしているようだ。
「しょうがねぇな。しばらくこのニューパソコンで遊ぶか。」
憧れていた人気で有名な高スペックパソコンがここに!
「電源オーン!」
ポチッとな。
ブーンっと起動画面が表示される。起動するまで数秒かかるからさっきの風呂の風景でも回想するか。
しかし、作者が野郎の入浴シーンなんてキモくて書きたくないというので省略だ。
んなことを言っているとパソコンが立ち上がる。さてさて、とりあえず、色々いじってみよう。
ぐりぐりとマウスを操作して色々開いてみる。
「・・・ゲームはついてねぇのか。んじゃネット。」
フリーのオンライン公開ゲームでも落としてきてやろう。3Dの綺麗なやつもこの高スペックならできるはずだ。
「ブラウザ起動・・・・、ブラウザはどこだよ?」
ねぇし!しかもよく見たら回線に繋がってねぇし!
「仕方がない。前に使っていたパソコンからこっちにデータを移植するか。」
セラが寝るまでの時間つぶしにはなるだろう。
「終了。まだ12時か。」
パソコンに入っているデータが少なすぎて1時間もかからなかった。
「寝たかな?」
ビタッと壁に耳をつけて聞き耳立ててみる。
「って、聞こえないんだって。」
ドアをノックして確認するのもあれだしな、窓から覗いて見よう。ちなみにここは8階。
「ふっふっふ・・・。俺は天才魔法研究家。ビルの壁をトカゲの様に這い回る魔法が・・・、ってんなもんねぇ!!」
窓から体を乗り出しても中までは見えないな、とか思ったが、ちょうど窓際の机でデスクワークをしているセラの後姿が確認できた。
「まだ起きているみたいだな。」
なんか眠い。ここの所ハードな日々が続いたからな。寝よ。夜這いはまた今度にしよう。
どうせずっと同じ家に住むんだ。
ぼふっとベッドに横たわるとそのまま眠りに落ちてしまうのであった。
次の日。
「エル様、起きてください。」
んん?
体を揺すられて目を覚ます。目の前に黒髪の美しい女が。・・・セラか。
「おはようございます!」
う〜ん、セラみたいな美女に起こされるのっていいなぁ。
「あ、おはよう。」
あー、眠い。今、何時?
ベッド脇に置いてある目覚し時計を確認。
「7時か。」
普段より1時間も早いな。
「朝食の用意は整っておりますのでどうぞ。」
朝飯か。1人暮らしの時は全く食べなかったな。
「顔、洗ってくる。」
眠い体を引きずってフラフラと部屋から出る。
「・・・・。洗面所ってどこだっけか?」
確か、左突き当たりはトイレよ。んじゃ、正面だな。
寝ぼけたままフラフラと進んでいく。
「おはよ!」
正面突き当りのドアを開けるとめちゃくちゃ広い部屋に出た。その真ん中にある絨毯の上でルーファがごろごろしている。
「あ、おはよ。」
朝から元気だなぁ。
再びフラフラと歩き出す。右に見えるドアを開ければ廊下だったな。んで、どこだっけ?
とりあえず、リビングから出た廊下にあるドアを全部開けて確認。5つ目で発見する。
「遠いな。」
ここに来るまで5分くらいかかったんじゃないか?
わしゃわしゃと冷たい水で顔を洗い、眠気を覚ます。
「ふぅ、昨日、2人もかわいい女が泊まっていたというのに眠気に負けて寝てしまったぜ。」
別にルーファでもよかったんだよな。やつはさっさと寝てしまったから夜這いは成功したはずだ。
「ちぃ。朝飯食ってこよ。」
さっき食堂に俺の分らしき朝食が用意されていたのを発見した。湯気の立つなかなか美味そうなやつであった。
「いただきます。」
俺が朝食の前に座るとセラが牛乳をコップに持ってきてくれた。
朝食のメニューはオムレツ、グリーンサラダ、トースト、牛乳か。ナイフとフォークを構えて早速、オムレツだ。
「おお、ふわふわとろとろ。」
美味美味。こんな朝食の作れる助手っていいなぁ。
「今日は本部の主要メンバーにあいさつまわりですね。」
セラが今日の予定を発表する。助手って言うか秘書だよな。
「主要メンバーって誰よ?」
昨日、総帥のクロウに会っただろ?
「まずはエル様の働いていただく魔法研究所管理責任者のシャロン様にお会いしていただきたいのですが、
多分、午後にならないといらっしゃいませんので、他の所からまわりますね。
まずは戦闘部隊隊長メズキ様と副隊長ゴズキ様ですね。次に兵器開発研究所管理責任者ウィルソン様。
それから薬品開発研究所管理責任者ギルディス様。それから・・・。」
数える所30人くらいか。だるいな。
「ふぅ、喰った喰った。美味であった。」
朝食を完食。美味かった。
「ありがとうございます。」
セラが空になった食器を片付ける。
「んじゃ、歯を磨いてくる。」
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