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2003.11.23


第3話 魔法文明(2)



 「以上で俺様の講義は終了だ!」
 結論として言いたかったのは、俺様は魔法の発動する原理はわかっていないが、使えてしまっている、と言うことだ。
 「そんなぁ〜。趣味で魔法研究をしていて、単独研究で実用段階まで開発した凄い人って言うから、 窓際で物静かに古の言葉で書かれた書物を小説の様に読みふける知的な人を想像していたのに。」
 なんかセラがうつむいている。
 「何だ?俺がこんな男で幻滅したか?」
 さっき、そんな感じのセリフだったな。
 「いえ、物静かで知的な人より、ユニークで楽しい人の方が好きですから幻滅したって言うことはないですけど。」
 セラが困った顔のまま顔を上げて俺の顔を座ったまま見上げる。
 「ユニークで楽しい人。ふふふ。俺のことじゃねぇか。」
 俺が知的で物静か、と言うことはないからな。
 「そうですね!エル様といると飽きなくて楽しいです。」
 そうかそうか。
 「んじゃ、風呂に入ってくる。背中を流してくれぃ!」
 セラの顔が赤くなる。何かやましいことでも想像したか?まぁ実際、俺はやましいことを期待しているが。
 「あ、あの!エル様に聞いたことをレポートにまとめておかないと!失礼します!」
 セラが逃げていく。
 「サービス悪いなぁ。」
 セラの持っていたメモ帳が白紙であった気がするのだが、何をレポートにするのか。 俺が魔法の原理について何も理解していないって言うことをレポートにするのか?
 「まぁ、今日はこの家にセラと俺の2人しかいない。今日こそ処女をいただくぜ。」
 ふっふっふ・・・。セラがベッドの上で悶える姿を想像して涎が出るぜ。 顔、プロポーション共に抜群にいいからな。
 「ぬっふっふっふ・・・。」
 笑いが止まらん。

 野郎の入浴シーンは省略だ。

 「さて、風呂も入ったし、昨日の夜にしっかり休んで体力もバッチリだ。行くぜ。」
 セラの部屋のドアをノックする。ドアを開けた所をガバッと襲ってやるぜ!
 「・・・・。」
 しかし、返事はなし。ありゃ?俺のただならぬ気配に警戒しているのか?
 ドアノブを捻ってみるが、鍵がかかっているようだ。
 「ちぃ!ここが開かねば襲えねぇじゃねぇか!これなら鍵開けの魔法も開発しておくんだったな。」
 壁をトカゲの様に移動できるようになる魔法と鍵を開ける魔法か。研究対象のネタがどんどん湧いてくるな。
 「ここを開けるより壁を突き抜けて入った方が早いか。いや、転移方陣でこの部屋の中に転移すれば。 でも転移方陣は転移先に特殊な魔法をかけなければならないから、セラのいない間に忍び込まなければいかんな。 どっちにしろ中に入れなければ始まらんな。転移方陣を改良して転移先を自由指定にするか。 でもそれをやろうとして失敗したから今のような魔法になったんだよ。くそ!」
 ドアをドンドンドンっと叩いてやる。しかし、反応はない。
 「セラが出てくるのを隠れて待ち伏せするか。とりあえず、トイレで張り込みだな。 実の所、俺の部屋のドアより、こっちの方が近いし。」
 なんでこんなに離れているのか。
 トイレのドアをちょっと開けて、ドアに隠れながら鏡で廊下の様子を映して監視する。
 しかし、一向に出てくる気配はなかったのであった。


 「エル様、エル様、起きてください。」
 ん?
 「は!いつの間にか寝てた!うお!セラ!捕まえたぜ!!」
 ガバッと目の前にいたセラに飛びつくが、さらっと交わされてしまう。
 「もう朝ですよ。どうしてこんな所で寝ていたのですか?朝食のご用意はできていますから、どうぞ。」
 がーん!トイレで一晩過ごしてしまった。今までの人生で最大の不覚。トイレの窓から明るい光が差し込んでいる。
 「お前こそどうしたんだ?風呂からあがってきてお前を呼んでも返事しないし。」
 セラがちょっと目をそらす仕草をする。何か隠しているのか?
 「すみません。レポート書きながら大音量の音楽を聴いていたものですから、気付きませんでした。」
 目をそらしたままのセラはどう見ても嘘を言っている様にしか見えないのだがな。
 「大音量でって中から何も聞こえなかったぞ。」
 確かに静かな夜であった。
 「ここの防音システムは完璧ですよ。隣の音は窓やドアを開けていない限り聞こえませんよ。ですから、何かあった時は気をつけてくださいね。」
 て、ことはセッ○スの時にいくら声を出しても近所迷惑にならないと。
 「それより、スカウトした時に言っていた夜のお世話ってどうしたんだ?」
 セラが笑顔になる。
 「それは住み込みで家事をしますよって意味ですよ。何かやましいことでも期待していたんですか?」
 まぁ、夜食用意してくれたり、お風呂用意してくれたりと夜も家事をしてくれているが。
 「初めてだからどうとかって言っていただろうが!てっきり処○だからって意味だと思っていたんだが。」
 それにセラが顔を赤くして目をそらす。
 「こうやって誰かの身の回りのお世話をする仕事は初めてですって意味で言ったんですけど。」
 あの態度からそれは想像しないだろうが!(第1話(1)参照)
 「んん?ならすでにセッ○スの方は経験済みか。なら何の遠慮することもないだろうが。」
 セラを抱き寄せようと手を伸ばしたが、交わされてしまった。
 「あ!朝食が冷めてしまいますよ!さ!早く行きましょう!あはは!」
 セラが逃げて行ってしまう。
 「やはり処○だったか?」
 ガードは固いなぁ。


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