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2003.11.30


第3話 魔法文明(6)



 「これが昨日、お話したブレイズウェポンですね。」
 と、ライナがいう。昨日、見た写真の物は10m程先の台座に置いてある。
 「もう少し近づいていいか?」
 まぁ、この位置で柵がついているのだからここから先に行ってはならないという意味なんだろうが。
 「危ないですよ。これ以上近づくと見えない力にはじき返されてしまいますから。」
 と言いながらライナが懐からメモ帳を取り出し、1枚を破って丸めている。それをブレイズウェポンの安置されている台座に向かって投げる。

バチィ!!!

 ほんの40cm先で丸めた紙が何かにはじき返される。
 「バリアか?」
 銃弾とかもはじき返しそうだよな。
 「そういえばエル様の魔法でバリアを作り出せる物がありましたよね。」
 と、言いながらセラが懐から拳銃を取り出している。
 「わ!セラさん!跳弾して危ないです!」
 それを聞いたセラが拳銃を懐に戻す。
 「まぁ、俺の障壁方陣でバリアみたいなのを作れるが。」
 俺の魔法は元々魔法文明の遺物だからな。
 「エル様の魔法で作り出したバリアを通過する方法ってないですか?」
 セラの言いたいことはわかった。このバリアは俺の障壁方陣と同じ様な物ではないかと言うやつだな。
 「実はなかったんだ。俺と同じ障壁を展開できるやつがいなかったからそれを中和する魔法なんて必要なかったし、 そんな魔法が俺の持っていた魔法書に載ってなかった。」
 それにセラが残念そうな顔をする。
 ライナが俺とセラの会話に首をかしげている。こいつって、俺が魔法を使えることを知らないみたいだな。
 「なかったって過去形なんだな。実の所。おととい、上手い具合に見つけてしまったんだ。 魔法効果を無効化するっていうやつ。つーことで、いけるぞ。」
 びしっとポケットから魔法カードを1枚取り出し、セラの顔に突きつけてやる。
 「それでは、早速このバリアを解除してください。」
 うむ。
 ライナはこれから何をするのかわかっていないみたいだな。とりあえず、セラに流されて俺に場所を譲って後ろに下がる。
 柵を乗り越えて一歩進み出る。

バチィ!!!

 「ぐあ!!」
 何か見えない壁にはじき返されてしまった。さっき丸めた紙をはじき返したバリアか!
 「だ、大丈夫ですか?」
 柵を飛び越えるほど吹き飛ばされた俺の所にセラが心配そうな顔をして駆けつけてくる。
 「近づき過ぎた。けがはないな。」
 やれやれ。
 改めて挑戦。さっきはじき返されたおかげでバリアの位置はわかったからな。
 「よし。行くぜ!」
 びしっとかっこよくポーズを決めてみる。大して意味ない。
 「喰らえ!封印解除呪符!」
 ベシッと俺様の行く手をさえぎる見えない壁に魔法カードを貼り付けてやる。それと同時に魔法カードが青い炎をあげて燃え尽き、 何かガラスの割れる音がする。
 「おりょ?」
 見えない壁は消えていた。俺の魔法は効果があったようだ。テクテクと普通にブレイズウェポンの置いてある台座近くに歩み寄る。
 「わ、どうして?」
 ライナがあんぐりって感じで驚いている。
 「エル様!凄いです!」
 セラは感動している。
 「ふ。天才だからな。」
 俺様は唯一魔法を実用段階にした世界最高の天才魔法研究者だ。
 「これが。噂のブレイズウェポンか。」
 普通に手に取れた。なかなか軽い。剣の握りとしてはなかなか握りやすい。俺の手にあつらえた様にフィットする。
 「さすが、黒馬ビルの魔法研究所に配属された超一流のことはありますね!!」
 セラの横でライナも感動している。とりあえず、手に取ったブレイズウェポンを見せてやろうと2人の所に持っていく。
 「私にも持たせてください!」
 ライナが目をキラキラさせている。
 「ほれ。」
 ライナに手渡そうとライナにブレイズウェポンと呼ばれる刃のついていない剣の柄らしき金属の棒を差し出す。

バチィ!!!

 「きゃ!なになに?!静電気?」
 ブレイズウェポンを受け取ろうとしたライナが触れた瞬間に熱い物を触った時の様に手を引く。
 「どうした?」
 ライナが何度か触ろうとするが、何か見えない力にはじかれてしまっているようだ。
 「触れないです。」
 ライナが泣きそうな顔になる。
 「あ、私も触ってみたいです。」
 横にいたセラも手を伸ばす。
 「きゃ!な、何でしょう?何か強い力で弾かれる感じですよ。」
 なんかセラも触れられないようで。
 「剣が持ち主を選び、選ばれた者しか触ることもできない。この剣はきっとエル様を選んで、 エル様以外は触ることができないのではないですか?」
 ライナが泣き顔からまじめな顔になる。そういえば昨日、ブレイズウェポンの説明の所でそんなことを言っていたな。
 「なるほど。この剣にも俺の天才としての実力がわかるのか。俺が選ばれたのだからこれは俺のだな。」
 もらったぜ!
 「わ!一応、研究してみないと!それにブレイズソードって剣なんですから、その光る刃とか見てみたいですし!」
 しょうがないな。
 「古代の兵器だからな。こんな所でうかつに使ったら何が起こるかわからん。生き埋めになったらしゃれにならないしな。 外に出たら拝ませてやろう。」
 んで、俺のお持ち帰りと。


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