「ここが祭壇か。」
リリスに案内してもらってクレストの祭ってある祭壇にやってきた、と思うのだけれど。
「ねぇじゃねぇかよ!」
クレストらしきエネルギーの結晶体なんて見当たらない。
「一番奥の祭壇っていったらここだよ!」
腕を拘束されたままのリリスが抗議する。
「薄給でもやはり雷鷲の一員か! 俺たちをだまして罠にはめようと言う魂胆だな?」
びよ〜んっとリリスの丸い頬をつまんで伸ばしてやる。
「ひひゃひひょお〜。」
それにリリスが涙目になってしまう。
「もう運び出してしまった後なのではないでしょうか。ここの部屋はアルフヘイムで見たクレストの祭壇と雰囲気が似ていますし。」
そう言えばな。
セラが俺の手を払って俺からかばうようにリリスの頭を胸元で抱く。セラって俺には冷たいけど、かわいいのが好きだからなぁ。
「ほら、あの祭壇なんてアルフヘイムで見たのと同じですよ。」
セラが部屋の奥にある一団上がった台を指差す。そう言えばこんな感じだったなぁ。
「おい、リリス。どこに運び出したんだ?」
クレストが祭ってあったらしい祭壇に来てリリスに聞いてみる。
「そこに何かあったの? あたしが見た時にはもうなかったよぉ。」
簡単には答えないか。
「あんまりしらばっくれると本当に犯っちゃうぞ?」
がおっとか言って手をにぎにぎしてちょっと助平そうな顔をしてやる。それにセラがリリスをかばうようにして間に割って入って来る。
「この子に変なことしないでください。」
この女は。
「とりあえず、調査だ。トラップがあるかも知れないから注意して、何か手がかりが残っていないか探そう。」
リリスをセラに預けたまま、ルーファとマルコス、俺の3人でこの祭壇の部屋を調査する。しかし、手がかりの様なものは全く出てこないのであった。
「ここの管理責任者をしていたモロノに聞いた方が早いのではないですか?」
ああ、そんなのがいたな。
「野郎のことなんて事が終わったら忘れるたちだから完璧に忘れていたわ。どこにやったっけ?」
成り行きでリリスをつれてきたけど、他に捕まえた連中はどうしたっけ?
「メズキ様に任せたんですけど、まだ生きているかしら?」
なんかセラが恐い事言っている。
「まだ生きているかしらってなんだよ。あのメズキちゃんってそんなに残虐非道な女だったのか?」
趣味で編物して、部屋いっぱいにかわいいぬいぐるみとか置いているあの女がか?
「行ってみましょうか。メズキ様に預けてからそれほど時間も経っていませんし。」
膳は急げだな。
と、言うことでメズキちゃんのところへ向う。
「メズキちゃん! ここの管理責任者のモロノってどうした?」
メズキちゃんのところに行くとコーヒーを飲んで一服していた。
「だからちゃん付けで呼ぶなって。あの男ならゴズキに任せたぞ。」
ゴズキのおっちゃんのところか。あのおっちゃんは仲間思いのなかなかやさしい所がある熱血野郎だからな。顔はごついけど中身は丸いって言う典型的なやつだ。
「んじゃ、そっちに行ってみる。どこ?」
なんか知らないけど、ルーファとマルコスはメズキちゃんから数歩間を置いているのよな。
「どこに行ったのかしら。見つけたら私にも報告して。」
さよか。
「その辺の連中に聞くか。んじゃ、メズキちゃん。」
バイバイとか言って手を振ってやる。
「だからちゃん付けで呼ぶなって。」
ちょっと顔を赤くしたメズキちゃんがなかなかかわいいのだがなぁ。
メズキのいた部屋から周辺の連中に聞き込みをしながらゴズキのおっちゃんを探すこと30分。やっとのことで発見するのであった。
「あの男か。他の捕虜と一緒に本部へ連行したぞ。」
ガボーン!
「クレストをどこに運んだか聞いたか?」
こいつの頭って筋肉でできているからな。そんな細かい所まで気が回るとは思えないが。
「尋問は皆、本部に専門の部署があるからな。そっちに皆、任せてしまうんだ。聞きたいことがあればそっちに行ってくれ。」
そんな部署があったのか。
「そこに送られてしまったのなら、もうお会いできませんね。冥福をお祈りしましょう。」
セラがなんか言っている。
「何だそれ?」
冥福を祈りましょうってすでに死んでいるような言い方は?
「うちって一応、悪で通っているじゃないですか。そういう汚れの部分はとことん悪に徹しましょうと言う方針でして、残虐非道な拷問が行われるんです。そこに送られて無事に出てきた者はいないとかいるとか。」
最後のいないとかいるとかって中途半端な。
「実の所、何をしているのか分からないんですけど。クレストの行方について聞いていただけるように頼んでみましょう。」
セラが無線を使ってさっさと手続きをしてしまう。
「他に何か聞き出したいことってあります?」
そうだな。
「オグちゃんとシャイリースのキザ野郎の関係について。」
そのままセラが伝言してしまうし。
「・・・。何ですか?」
伝言してからツッコミを入れるなって。
「一応、ラブラブな関係なんじゃないの?」
と、リリス。
「オグちゃんとシャイリースのキザ野郎なんて全然あわねぇよ。」
何であの2人はあんなに仲がいいのか。
「オグちゃんとシャイリース様とはトラックの中で少し一緒に過ごしただけなのにどうしてそんなこというんですか?」
リリスたち(この場にいる全員)が首をかしげる。
「それは決まっているだろうが。この世のかわいい女は全て俺のものだからだ。」
セラとルーファがあからさまにあきれた顔をしている。
「ここでやることがないのでしたら帰りましょうか。」
セラが無線を切ってなんか帰り支度をしているし。
「ここの調査はしなくていいのか?」
俺はここの調査をしに来たんだし。
「詳しい調査記録は雷鷲の方が残していったものがありますし、私達2人でこれ以上の詳しい調査はできませんし。」
う〜ん。
「結局、俺って戦闘要員として使われていないか?」
魔法の研究をしろって言われてスカウトされたのになぁ。
「だって、魔法研究をさせるより戦闘に投入した方が使えるし。」
セラがなんかぶっちゃけたこと言いやがったな。
「さよか。」
まぁ、シャロンたちが優秀なのは認めるさ。
今日はこれで帰宅となった。
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