「何?! 避けやがった!」
地下4階にいた戦闘員が俺のエルウィップを避けやがった! 今までのやつらは一撃で全員なぎ倒していたのに。
「怪しい動き!」
俺のエルウィップを避けて壁を蹴って天井へ飛びつくやつ。それを叩き落そうとエルウィップを振るうが、簡単に避けてこっちに突っ込んでくる。
「ちぃ!」
障壁方陣で弾き返そうと懐に手を入れた所にフレリアが前に出た。
「えい!」
フレリアが気合一閃。突っ込んできたやつを空中で胴切りにする。さすがだのぅ。
「エル様! 気を抜かないでください!」
おう! 気合を入れるぜ!
「研究室か。やっと着いたな。」
地下4階に入って銃撃がなくなったのだが、さっきみたいに俺のエルウィップを交わす様な素早いやつらが出てきた。セラは機関銃から剣に武器を持ち替えてそれに応戦した。なんか俺のエルウィップだけでなく、銃弾も避けられてしまったようだ。
「強化障壁方陣!」
結界方陣に改名しようかしら? 障壁方陣の強化バージョンだから、そのまま強化障壁方陣なんだけど。
結界を張ったが、中に敵が潜んでいた。まぁ、難なく研究室内にいたやつらも倒してやる。魔法で動きを封じてしまえば恐れるに足らず。
「銃弾やエル様の鞭を避けるなんてどんな訓練をしたのかしら。」
メズキちゃんやルーファ、マルコス辺りでもさすがに機関銃の銃撃を全て避けるって言うのは無理よ。
「とりあえず、マスクとって顔でも拝んでやるか。」
俺のエルウィップで胴を打たれてスプラッタなことになっているから詳しい状況は無視しておこう。
「ブサイクな面してんなぁ。人間の域を越えているじゃん。」
てか、猿じゃん! 毛むくじゃらだし。
「エル様! この目!」
目?
「あ。」
そいつの見開いた目が青い。白目をむいているとかではなく、フレリアと同様に白目と黒目の境界がない。
「モンスターか?」
モンスターならあの人間離れした動きは理解できる。遺跡の中に生息するモンスターたちは皆、人知を超えた能力を持っているものだ。
「そっちもか?」
とりあえず、この部屋に4人が潜んでいたのな。全員のマスクをはいで確認してみる。
「おお。全員同じだな。モンスターの量産でもしているのか?」
モンスターを作るなんて聞いた事ないが、モンスターを戦闘の道具として使う研究は魔法文明の遺跡からモンスターが発見されたことから考えられていたと聞いたことがある。
「私たちみたいに知能のある上位種なのかしら?」
一応、分類としてはフレリアもモンスターに入ってしまうんだよな。
「上位種って定義がよくわからないのだが、何?」
モンスターについては専門外だからな。
「私たちみたいに高い知能を持ち、人間世界で普通に生活ができるモンスターのことをまとめて上位種と言います。大抵のモンスターは本能のおもむくままに活動するだけですから。」
なるほど。頭がいいのが上位種な。
「この階で遭ったのって皆、これだよな。」
皆、同じ運動能力を持っていたからな。
「私たちの様な上位種のモンスターは個体数がとても少ないんですけど。あれだけの数を殺してしまったら全滅でもおかしくないですよ。」
人間より能力の高いモンスターの上位種って言うのがたくさんいたらそいつら中心の社会になっているよな。人間なんて群れるだけでたいした能力はないし。まぁ、俺様は除く。
「まぁ、とりあえずはこの部屋の調査だな。この前の資料室でこんなのの資料は出てこなかったからな。」
いやぁ、セラの仕事の早さはさすがだよな。あれだけの資料を1時間足らずで全部チェックしてしまったのだからな。元諜報部ってことはあるわ。
早速、調査開始。とりあえず、部屋の照明を点けたいな。非常灯みたいなので薄暗いからな。
「あの赤いランプが怪しいな。」
丁度、通りやすいように機材が避けてあって通路になっているからな。スタスタと行って確認する。
「照明。これだな。」
ぱかっと開けると中にスイッチが並んでいた。とりあえず、全部点ける。
「きゃああ!」
リリスの悲鳴! とっさに振り返ったが襲われた様子ではないな。何かを見て驚愕している感じ。
「何事?」
なんかグロテスクなものでも試験管に入っていたのか?
とりあえず、リリスの行ってみる。
「うお!」
なんか青く光るガラスの円柱の中にグロテスクなのが浮いているのよ。ベタな展開だな。
「マジでモンスター作っていたのな。」
うわ〜。グロテスクだなぁ。小説の中だけだと思っていたのにこうして直接見ると。
「研究レポートか何かないか探して見ましょう。」
セラはいたって冷静だな。リリスとフレリアは開いた口がふさがらないって感じだが。
「試験管から出てくるかもしれないから注意して探そうか。」
あれって全部生きているのか?
「うぇ〜ん!! そんな恐いこと言わないでよぉ!」
なんかリリスが泣きながら抱きついてきた。かわいいやつだなぁ。
「う〜ん。役得。」
なんかセラが睨んでいるし。
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