なんか、ウィングス空港に到着した。
「会食の場がブリティアだからな。」
ブリティア。かつてはイギリスと呼ばれていた土地だ。ここから4時間くらいのフライトだな。
「ブリティアの有名超一流ホテルを借り切っているらしいぞ。」
ほほう。雷鷲も結構儲かっているんだな。
こっちはこっちで自家用機だぜ。クロウの私物。さすが黒馬総帥。
「クロウ。最近の景気はどう?」
4時間もあるからな。世間話に花を咲かせよう。てか、総帥を呼び捨てにするのはどうだろう? 最初にクロウと呼べと言われているから気にすることもないよな。
「まぁ、それなりにな。そうそう。また1つ魔法文明の遺跡を発見したぞ。今度は古代源炎教の神殿跡らしいぞ。」
『古代源炎教』とは魔法文明時代に流行った宗教の1つだ。古代源炎教から派生して誕生した『源炎教新興派』は、現在でもキリスト教、イスラム教、仏教と並んで4大世界宗教に数えられている。ちなみにセラがその宗教の信者。まぁ、たいそうな信者じゃなくて家が代々信仰しているからと言うだけなのだ。
「なんか綺麗な壁画がたくさん見つかっているらしいぞ。」
ほぅ。今度見てみたいな。
「クレストはどう?」
色々と遺跡発掘しているのは古代魔法文明次代の技術を発掘する他にクレストというエネルギー資源を手に入れるためでもあるらしい。
「クレストは発見できなかったそうだ。」
さよか。
「そう言えば、今どのくらいのクレストを黒馬で所持しんてんだ?」
俺の質問にクロウが口をつぐむ。しばらく考えた末、口を開く。
「今、手に入れたのは8つかな。でかい猫に付いていたヒートクレストは除いてだな。」
8つか。クレストって結構な数があるんだな。
「いや、8つじゃないな。入手したと俺が知っているクレストの数が8つと言うだけで、まだ他にも隠し持っているやつがいるかもしれない。」
なんだそりゃ。
「はい。黒馬で所持しているクレストの数は20を超えています。私にも調べられないほど巧妙に隠している物もありますから、正確な数はわかりませんが。」
と、セラが口を挟む。20超?
「なんだよ。総帥のくせに半分も知らないのかよ。どうしたんだ?」
てか、何でセラが口を挟んでくるんだ?
「セラ。お前がいくら優秀な諜報員だとしても、何でそんなこと知っているんだ?」
クロウも怪訝な顔でセラに訊く。
「えっと、フレリアに頼まれてクレストについて調べているんです。私たちの所にフレリアというアルフヘイムのエルフが滞在していることはご存知ですよね?」
ああ。フレリアの頼みか。あいつは自分の村で管理していたデッドクレストと呼ばれるクレストを探しているんだったな。封印して持ち帰ればエルフ村の長になれるとか言っていたし。
「ああ。あの子か。俺でも知らないことをよくそんなに調べたな。」
クロウと俺で感心する。なんか、クロウの横に控えていたサンチョスの顔色が悪い。まぁ、何か企んでいたのだろう。よくあることだ。
「もう50以上のクレストを確認しましたけど、いまだに彼女の探しているクレストは見つからないのです。」
おい。
「そんなにいっぱいクレストがあるの?」
ただの飼い猫に封印の解けたクレストが憑依するとあのアレクサンダーみたいな凶暴な猫ができあがるんだよな。それが50以上もいるの?
「フレリアの話ですと、魔法文明時代には1000を超えるクレストが存在したそうですよ。」
凄い数。
「そう言えばクレストなんて集めて、何するつもりなんだ?」
色々と用途は考えられるが。
「世界征服。」
クロウが真顔で言う。
「そうか。」
俺が世界征服を考えれば、こいつが一番の障害だな。
「なんか色々しているけど、最終的な目的は全て世界征服に行き着くんだ。俺が世界の王。んで、お前がナンバー2かな。」
ナンバー2?
「なぜに俺がナンバー2に甘んじなきゃならんのだ? 隙あらばお前を踏み越えてトップに行くぞ。」
2番目なんてヤダ。
「おう、言ってくれるじゃねぇか。俺に勝てないくせに。勝負するか?」
クロウの左手にトランプが飛んでくる。そして向こうの方で戸の閉まる音がする。サイコキネシスで棚からトランプを引き寄せたらしい。
「おう。やったろうじゃねぇか。ノーチェンジポーカーで勝負だ。」
セラにカードを配らせる。
「さすが俺! いきなりフルハウスじゃ!」
5が3枚7が2枚のフルハウスじゃ。ノーチェンジの一発目でこの手札。
「ふぅ。フォーカード。まだまだだな。」
がーん! クロウの開いた手札にAが4枚揃っているではないか。
「俺がナンバー1で、お前がナンバー2だ。出直して来い。はっはっはっは!」
また負けだ。
「うおー! またやられた! おのれぇ!」
次は必ず勝ってみせるぞ!
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